パパの子育て体験記(高知県財政課課長)
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中島財政課長は、令和4年4月に総務省から高知県総務部財政課長としてご出向されています。出身は長崎県で、東京の大学へ進学。東京のほか、秋田県や福岡市でも勤務されています。東京で勤務されている間に出会われたという奥様は、ご実家の京都で里帰り出産をされました。
「巡り合わせが良かった」という言葉をしきりにおっしゃられていた中島課長。一体どういった巡り合わせがあったのでしょうか。このほか、育休取得に至った経緯や、育休中の過ごし方、ご両親のサポートが受けられない中でのご夫婦の協力体制、受けられた行政サービス等々盛りだくさんでお話いただいております。
育休を取得するまでのお話や育休を取得できたことで得られたメリット
――県庁の中でも忙しいと言われる財政課で勤務されていて、その中で気持ちを切り換えて1ヶ月職場に来ないという選択をするに至った経緯、心の動きを教えていただいてもよろしいですか。
高知県は育休取得を推進しており、昨年高知県に赴任してから、知事が育休を取りましょうとおっしゃっているのを繰り返し耳にしていましたし、当課でも昨年子どもが生まれた職員が1名居まして、その際に課全体でフォローしながら1ヶ月しっかり育休を取得したという状況もあり、私自身も取得しないといけないという思いもありました。
一方で、1ヶ月間取得するというのは厳しいと最初は思っていましたが、上司も部下も背中を押してくださり、かつ、3月に子どもが生まれ、財政課の業務が一番落ちついている4月に取得のタイミングが巡り合わせたこともあり、取得できました。
――中島課長の場合は高知でずっと暮らしてきた方とはまた違う育休の過ごし方だったと思います。お互いに県外ということで、ご両親のサポートがほぼ受けられなかったのではと思いますが、お2人だけで乗り越えるご苦労も相当あったのではないですか。
生まれて最初の1ヶ月は、私が里帰り先の京都へ何度か行き、そこで、妻の実家のサポートを受けながら、基本的なことを学べました。
その後、2ヶ月目からは、妻と子どもが高知へやってきて、それにあわせて私も育休に入りましたが、その期間を活用して、2人で面倒を見るリズムを掴むことができたのは非常に大きかったです。この期間があったからこそ、育休明けの生活への移行もスムーズ行えたと感じています。
一方で、子どももそうですが、特に私や妻が体調崩した際の不安な思いはあります。幸いまだ体調を崩したことはないですが、親が近くにいると、いざという時に心強いと本当に思います。
――1ヶ月間、お子様と一緒に過ごして奥様のサポートもされたということですが、期間としては十分だと思われましたか。それとももう少し長く、例えば3ヶ月とか取得出来ればよかったと思われましたか。
取得する期間は長いに越したことはないと思いますし、必ずしも連続して長期間取得するのではなくて、小分けにして取得するなど、それぞれの状況に応じて取得することが大事だと思います。
――課長職ということで部下を抱えていらっしゃいますけど、お子さんが生まれる前と後で子育て中の職員に対する思いなど、ご自身の中で変わったなと思われる部分はございますか。
やはり子育ては大変だと話では何度も耳にしてきて分かってはいるつもりでしたが、実感するとその大変さがより身にしみて分かるようになりましたし、なるべく子どもと一緒にいたいという気持ちもより強く分かるようになったので、配慮しないといけないと思うようになりました。
例えば、子どもの入学式のために、今日は休みを取りますという申出に対する受けとめ方も、昔からそういう行事は大事だというのを分かっていたつもりですが、より一層理解を示せるようになりました。
ーーそうしたお話を聞くと、管理職がしっかりと育休を取得して理解して実感してということを繰り返すことで、職員がどんどん育休を取得しやすくなって、家庭に対する協力の姿勢が、良い組織には大事なのかなということも感じましたね。
そうですね。私が育休を取得する時も、部長や副知事や知事からも、積極的に取りましょうと言っていただけたので、上司の理解があるというのは大事だと思います。
ーーちなみに育休をとってから、奥様との関係性で、なにか変化はありましたか。
幸い、娘が比較的手が掛からないおかげか、育休を契機にお風呂に入れるなどしているおかげか、パパの本にあるみたいに(愛情曲線※が)落ち込んでいることもないと思っています。実際のところはどうか分かりませんが(笑)
※高知県版父子手帳"パパの本"「女性の愛情曲線」
産後、妻の愛情は子どもと夫へ分散され、夫への愛情が急速に落ち込みますが、
特に幼児期までに育児に参加した夫は、妻の愛が回復すると言われています。
――育休期間中に奥様から言われた一言だったりとかで印象的だったことってあったりしますか。
やはりこの一番大変な生後1・2ヶ月のところで、しかも里帰り先から戻ってきて、生活のリズムを1から作っていかないといけない大変な時期に、一緒に居てもらってすごい助かったというのは、何回も言ってもらいます。まさかこれほどしっかり育休を取れると思ってもなかったから嬉しいとも言っていましたね。
――奥様からの感謝の言葉を言われると、もっと頑張ろうとか、子育てに対するモチベーションも更に上がるんじゃないですか。
そうですね。できる範囲で最大限やっていかないといけないなという思いは強くあります。
現在の子育てのおはなし
ーー1日のスケジュールはどのように組み立てられて朝起きてから退社するまでどのような流れでいらっしゃるんでしょうか。
朝は、大体7時過ぎに起きて、子どもがまだ寝ている中で、そそくさと出勤をしていくことが多いです。
財政課は冬場がとても忙しいのと、補正予算編成時に忙しい時期が1ヶ月続くなど、年間で波がありますね。比較的落ち着いた時期であれば、早く帰れています。
夕方は、7時に子どもを風呂に入れて、そこから授乳して8時前には寝かしつけているので、7時までに帰れるとものすごく妻も喜びますし、逆に、お風呂入れ始めた以降となると役立たずになります(笑)
そのため、今の生活のポイントとして、遅くとも7時までに家に帰るというのを意識しています。
ーー奥様とお子さんが高知に来られてから、ガラッと生活が変わったのではと思います。
何かご自身の中で、お子様と暮らす前と後で生活の中で大きく変わったなというポイントはありますか。
どこかに出かけるにしても、子ども中心に考えるようになりました。これまでは全然意識していませんでしたが、例えば、出かけた先におむつ替えや授乳スペースがあるのかというのを調べるようになるなど、見え方が変わったというのは実感しています。この施設は授乳スペースが綺麗とか、そういった点で評価が上がるようになりましたね。
あとは、テイクアウトはよく利用していますが、外食にはあまり行けていません。今後、子どもを連れて外食もしたいと考えているので、子どもを連れてどれだけ外食しやすいかというのは、大変大事だなと思っています。ベビーカーも一緒に入れるのか、バウンサーや幼児用の椅子があるのか等、一緒に連れて行っても大丈夫かどうか、そういう点が気になっています。
――事前にお聞きした中で、はぐあすの産後ケアを1度利用されたということですが、利 用のきっかけはどういったものだったのでしょうか。
これは職業柄ですが、今年度の当初予算査定の時に説明を受けていて、これは産まれたら使ってみたいと思っていました。産後ケアサービスを県も市町村も旗を振って進めていることは仕事を通じて知っていて、特に宿泊型の利用をより伸ばしたいということを聞いていたので、宿泊型を使ってみました。妻は、施設がすごく綺麗で、リラックスできてよかったと言ってました。
他には地域子育て支援センターを利用し、妻は職員の方と色々お話が出来てありがたかったと言っていましたね。おもちゃで遊んだりするのはまだ早いですが、また利用したいと言っていました。
――ご自身が育児を経験されて、もっとこんな支援があったらパパにやさしいんじゃないかなだったり、お子さんを育てやすくなるかもなと思うことはございますか。
国も「誰でも通園制度」を検討していますが、4ヶ月の子どもがいると、週末出掛けようと思ってもどうしても2、3時間ぐらいが限界で、近場にしか行けないので、気分転換という意味でも、気軽に預けれるようなところがあると良いなと思います。実家が近くになく、実家で預かってもらうことも難しいので。
――子どもさんと3人の時間もそうでしょうし、ご夫婦2人の時間というのもそうでしょうし、その両方を守れるようになると、よりやさしい社会によりなるのではないかなという印象がありますね。
ーー総務省の同期の方々って、今どのような感じなのでしょうか。育休を取得されていたりしますか?それとも結構バリバリ働いてらっしゃるのか。
子どもがいる同期の方が多くて、先輩パパが多いですけど、なかなか私のようにしっかりした育休は取得出来ていないので、そういう意味で高知で巡りあわせがよかったなっていうのがあります。
ーー東京の霞ヶ関の方は、働き方改革って言っても現実的には難しいだろうなあという体感でしょうか。
ーー霞ヶ関でも働き方改革の取組みは少しずつ進んでいるようですが、やはり地方と比べると忙しいという現実はあります。ただ、地方に出向している場合においても、期間が限られている中で、育休をなかなか取得しにくかったりします。そんな中、高知県庁のみなさんは背中を押してくださって、これも巡りあわせが良かったなと思っています。
ーー高知での出向期間が終わったら、東京に戻られるのかなと思いますが、ご自身のキャリアの中でこれからご自身が直面するであろう大変なことなど不安はありますか。
今の仕事は、忙しい時期もありますが、東京と比べるとまだ良い方で、一緒にいる時間をそれなりに取れていますが、東京に戻ったら、そういう時間がとれるのかということと、あとは、今は、妻が完全に育休でずっと家にいるので、突発的に残業があっても何とかなっていますが、妻も仕事に戻って、育休明けて、共働きの状態となると、何かあった時に心配だという漠然とした不安はあります。
さいごに
ーーこれから、育休を取りたいけどどうしようかと悩んでいる方などへ、一言伝えるとしたら何を伝えますか。男性で周りのことも色々考えてしまう年齢的なことだったり役職のことだったりとか、配慮される方もいるとは思うんですけれども、取得された立場から、どんなメッセージを送りたいと思いますか。
2人目以降のお子さんの場合は別かもしれないですが、育児習慣を最初1ヶ月で作れると、やはりその後の育児参加も断然しやすくなると思います。また、実際に育児参加をしていくと世の中の見方も違ってきて、新しい気づきが出てくると思うので、そういう意味でも取得した方がいいと思います。
そのためにも育休を取得する意向を早めに示して、周りとの調整を進めることが重要だと思います。管理職目線での話になりますが、早めに言ってもらった方が色々と調整しやすくなるので、早め早めに相談いただいて、周りの協力を得ながらやっていくといいのかなと。
ーーここまでお話をお聞きして、夫婦2人で協力しながら高知での生活をクリエイトされているご様子がうかがえて、育児を楽しんでいらっしゃる印象を受けました。正直、大変なエピソードが沢山出てくるのかなと想像していました。
もちろん全員のパパさん、ご家庭がこんな風に順調な訳ではないと思いますが、こういった順調な例もありますよということで(笑)
娘が比較的夜泣きをしない子で、想像していたよりも睡眠時間を確保できていることが大きいかもしれませんね。ただ、今は楽しくやってますけど、ここから先はまたどうなるかわからないと覚悟しています。やはり子どもが大きくなるにつれて何か様子が変わったりするとよくあるってのは聞きますので。
育休の取得時期が、比較的業務の落ち着いているタイミングとちょうど重なったことや、高知県庁へ出向中かつ上司や部下の方などからの後押し等の巡り合わせにより、育休を取得できたという中島財政課長。育休を取得したことで、里帰りを終えられた奥様との生活リズムの構築をしっかり行え、それが今の生活にも繋がっているとのお話でした。
お仕事との両立は大変な面もあると思いますが、ご家族を大事にされ、子育てを楽しんでいらっしゃる様子がインタビュー中の笑顔やお話しぶりからも大変良く伝わりました。
育休取得にあたっては、職場内での早め早めの調整が重要とのお話もありました。同僚への負担の増加や、キャリア形成の観点など、様々な理由で取得を悩まれている方も、まずは上司へ相談してみてはいかがでしょうか。
子育て支援課からのお知らせ
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